2012年2月28日火曜日

風にそよぐ草


アラン・レネ監督 2009年・仏=伊合作 『風にそよぐ風』

 しゃれたフランス映画と思っていると、なんだかわからない。独身の歯科女医と初老の男性の奇妙な話だ。設定やストーリーの流れだけをたどっていると、「これはいったい何なんだ」という感情が湧き起こってくる。たまたま追いはぎにバックを盗られた女性の身分証名書が、地下駐車場に捨てられてあった。それを拾った初老の男が、写真を見て恋してしまう。ということからはじまる。男は執拗にこの女性に電話をかけたりする。ストーカー擬、いやストーカーそのものだ。
 では、この作品をどのように見ればいいのだろうか。物語をたどって、なにかしらの解決を手に入れるということを考えると、これほどつまらないことはない。では何なのか、この作品は、いろんな要素が散りばめられている。そのちりばめられたひとつひとつが、大切なのだ。パフェのように、食べる部分部分によって味わいが違ってくる。【男性は初老の紳士・家の仕事をよくこなしている・失業者のようだ・強い男性原理・まっすぐに向かうことができる・優順普段】 【女性は知的・靴屋さんで靴を履かせてもらうことが好き・お姫様のように扱われたい・飛行機の操縦が趣味でアクティブ・神経質】と、イメージを言葉にしてみると、この男性も女性も固定されたイメージを持たない。これこそまさに人というものの、ありようなのかも知れないと思えてくる。場面場面で微妙に変化する男と女の関係。そう思うと、なるほどフランス映画の伝統のもとにある作品なのかも知れないと思える。
 宙に浮いた黄色いバックが印象的だ。そのふわふわした感じがいい。