2022年8月4日木曜日

ミャンマー当局に拘束された映像作家久保田徹さんの即時解放を求め、 国軍による市民への弾圧に抗議する緊急声明

 私たちは、オリンピックの開催に反対する「オリンピック終息宣言展」のアーティスト一同である。  この度、私たちとともに展覧会に参加した映像作家・久保田徹さんが、7月30日にミャンマー・ ヤンゴンにて、軍政に対する短時間の抗議デモ「フラッシュモブ」を撮影中に、ミャンマー当局に拘 束されたという報を受け、ここに声明を発表する。  久保田さんは海外で起きている出来事と日本を結びつけ、それを掘り下げて伝えることのできる、 優れた映像作家である。とりわけ、苦しむ人たちの声に耳を傾け、社会の矛盾や欺瞞を鋭く追及し、 いま、私たちが何をするべきかを示唆する深い洞察力と表現力は、秀逸である。  久保田さんは学生時代からミャンマーを訪問取材しており、短編ドキュメンタリー「ライトアップ ロヒンギャ」などを発表していた。また直近には「平和の祭典」と称する東京オリンピックの準備が 進められる中で、治安対策の名の下に何人もの命を奪った入管の長期収容の問題をテーマにした「祈 りの再現」や、五輪の裏で排除されていく野宿者の姿を記録した「The hidden sight of Tokyo's homeless」などの作品がある。また昨年、難民申請者の強制送還を可能にする政府の入管法改正案が 提出された際には、市民や難民申請者の懸念する声を記録した映像などを発表し、大きな社会の動き に翻弄され、虐げられる人々の声を伝え続けている。  日本社会は、これまで紛争地で拘束されたおおくのジャーナリストやボランティアに対して「自己 責任」という不当な批判を浴びせ、政府による救援の努力も極めて不十分だった。それどころか、拘 束された人物の政治的スタンスによっては、無視を決め込んできた。これが大変な間違いであること を、われわれは指摘したい。 世界はさまざまな強権的な勢力によって分断されている。今、まさに久保田さんのような人が、危 険をかえりみずに私たちの眼や耳となって「知る権利」を保障する役割を担い、軍政の犠牲になって いる人々や、そして抵抗する人々の動きを伝えようとしていることに、日本社会は最大の敬意を寄せ るべきだ。そして日本の市民は、助けを求めるミャンマー市民の切実な声を受け止め、これと連帯す べきである。  私たちはミャンマー国軍に対して、久保田徹さんおよび、同時に拘束された2人のミャンマー人男 女の即時解放を要求する。そして、ミャンマー市民に対するすべての人権侵害をやめ、民主的に選出 されたアウン・サン・スー・チー氏らを解放し、すべての権力を返還することを要求する。日本政府 には、国軍に対する一切の協力をやめ、久保田さんの救出のために全力を尽くすことを要望する。 以上 2022年8月1日 オリンピック終息宣言展実行委員会 周香織、戸山恢、吉川和江、近藤あき子、土方美雄、阿部尊美、山田葉子、タジマカズコ、三木祥子 与那覇大智、坂内美和子、山崎春美、櫻川豊敏、田島伸二、平井勝正、多田正美、花田伸(順不同) 連絡先:speaking-artists@tutanota.com