2012年5月12日土曜日

描画漫録 3


パリでの個展が終了。4月17日に渡仏し、会期途中であったが26日に帰国した。ヨーロッパもパリも初めてのこと。観光旅行の経験もない。この歳になり、いい体験をさせてもらった。無、移ろい、瞬間の現象、虚と実の狭間、などが私の創作テーマとなっているが、それをヨーロッパの人に受け入れられるのだろうかという不安はあった。しかし、そんなことは杞憂にすぎないのだとすぐに理解した。空間として見てくれるような気がした。
課題はたくさんみつかった。むかし藍画廊やモリスや山口で展示した方法論を、いまもう一度再考する必要があるようだ。
パリの街で人類のことを考えていた。そして、この圧倒的芸術の数々は何だろうと思った。もちろん歴史的な権力と財力と武力によって集められたものだろうが、芸術にとてつもない価値を見いだしていたからこそである。翻って、日本の美術が海外に流失したことも考えてみると、なんとも悲しい想いにとらわれる。