2012年3月21日水曜日

描画漫録 2

  パリに持って行く作品を作っている。我ながら、自分の方法についての厳しさを感じている。ひとつとして同じ作品はうまれない。もちろん版画以外の作品は基本的に同じものはない。私の場合は、つねに自分の意図をはなれて作品が動き出す。「たまたま?偶然?さまざまな諸事情?」そんなものではない。私は私自身の作品が立ち現れてくることを、人間の手を離れた「智の結晶」であると考えている。私は、作品にたいして「きっかけ」を与えているに過ぎない。だからこそ現れた作品から、私自身がなにかを得ることができるのだ。作品は頭と技術だけで創造するものではない。自己の存在とインテリジェントデザインとでも言うべき、世界の何かが複雑に関わり合うことで、表出してくるものである。したがって、作品が失敗だということは基本的にはあり得ない。自分が気に入るか気に入らないかというこちら側の感想であり、もしかすると異なった世界では失敗ではないのかもしれない。