2013年6月30日日曜日

嘆きのピエタ(PIETA)

 監督:脚本 キム•ギドク               2012年 韓国
キャスト:ミソン:チョ•ミンス
    :ガンド:イ•ジョンジン

 予告編を何度か観て、自分の好みではないのでは、と思っていた。ヴェネチア映画祭のグランプリ受賞というのは、情報として知っていた。また、この映画祭には北野武も出品していたことも。絶対に観たいという気持ちで映画館に入ったわけではなかった。
 しかし、見事に私の心をこの作品は鷲掴みにしてしまった。ガンド役のイ•ジョジンがすばらしい。この孤独感は圧倒的だ。なにかを覚悟したようなイ•ジョジンの表情は、そう易々とは出来ないだろうと思う。そして、何と言ってもキム•ギドクの本と演出の凄さである。確かに残酷な場面はたくさんあるが、極めてスリリングであり、象徴性を宿している。「人の心」とは、そして「慈悲」とは、我々はこの世の深い闇の底に下りていかなければ、その本質をつかむことはできないのかも知れない。そう思うと、キムは確実にその闇のとば口にいるのかも知れない。ラストシーンが心を締めつける、そしてエンドロールとともに流れるパンソリが耳に残った。北野には太刀打ちできない。
 ル•シネマで、私の誕生日6月15日に観た。