2013年9月5日木曜日

標的の村

      2013年  監督:三上智恵  日本 ドキュメンタリー

 沖縄県東村高区、ヤンバルの森が広がる場所。米軍のヘリパッド建設が計画されている。住民の反対運動が激しい場所である。防衛施設局に説明を求めても門前払い、シュプレヒコールもむなしく響くだけ。自分たちの生活を守るために住民がとった最後の方法は、ゲート前の座り込みだった。
 しかし、それから間もなくして裁判所から住民15名に対して呼び出しがあった。『通行妨害」として、国の仮処分申請があったのだ。その名簿の中には、現場に行ったことも無い7歳の女の子の名前も記されていた。住民の代表者の娘だったのだ。家の目と鼻の先にオスプレイが配備されるのだ。なんとしても生活を守らなければならない。しかし、そこに立ちはだかるのは、アメリカではなく日本国政府であり、那覇防衛施設局なのだ。同胞が敵だったのだ。
 沖縄という現状を本土の人々は知らない、知らされていない。巨大なマスコミはそれに触れようとしない。マスコミもまた企業としての経営が優先されているのだろう。ただ現場だけが苦しんでいる。これは沖縄だけではなく、福島もそうなのだ。
 高江にはかつてベトナム村があったこと、村民がベトナム人の役をさせられていたこと、そこに枯れ葉剤が使われていたこと。我々はきちんと事実を知り、判断しなければならない。国家はけして我々の見方ではない。残念ながら現実はそうなのだ。日本政府は一体誰のためにあるのだろうか。沖縄は軍事基地であると同時に、世界でまれに見るアメリカの実戦訓練上なのだ。だから、深夜にライトを消して軍事ヘリが低空飛行をしたりするのだ。実践訓練をするのだから、当然事故が起こる。極論ではあるが、事故が起こった方が、次の訓練や機器の改良に活かされるのだ。