2013年9月16日月曜日

最後のマイウェイ

  監督:フローラン•エミリオ•シリ     英題My Way 仏題Cloclo      2012フランス

 フローラン•エミリオ•シリ。1965年、フランスのロレーヌ地方出身。フランスで「クロクロ」と愛称されていた人気歌手クロード•フランソワの伝記的作品。
 「My Way」と言えば、フランク•シナトラの名曲という印象が強い。しかし、その原曲があった。長谷川きよしはフランス語でクロードの歌を歌っているが、シナトラのものとは歌詞が大きく違う。人生の終焉を歌うのではなく、失恋の歌である。
 父親がスエズ運河会社に勤務していたので、クロードはエジプトで生まれた。裕福な一家だったので、このエジプトでの生活が大きな思い出となっている。しかし、時代の急激な変化によって、家族はモナコに逃れた。クロードの人生は波瀾万丈だった。日本でもおなじみのフランス•ギャルとの恋愛問題もあった。さまざまな恋愛遍歴と、個性的過ぎるとも言える彼の性格。父親との確執、ギャンブル好きな母との諍い。そして、不慮の事故で39歳の人生を終える。成功と悲劇が凝縮された人生「My Way」もいいのだが、「Comme d'habitude」(いつものように)もいい。以前パリ在住の日本人アーティストとスペイン人アーティストに引っ張られるように連れて行かれたパリ12区あたりのトルコ料理の店で、トルコ人らしい店主が、「コンダビチュード?」というのが耳に入った。「いつものやつ?」と聞いていたのだろうか。略して「コンダブ」とも言うらしい。
 懐かしいフレンチ•ポップス、シルビー•バルタンもミッシェル•ポルナレフもいた。もちろん「夢見るシャンソン人形」のフランス•ギャルも。その中にクロードもいたのだ。深夜放送世代としては、なんだかしんみりする。