監督:エルマン•オルミ 2011 イタリア
原題は「il villa di cartone 」厚紙の村という意味だろうか。アフリカから逃れて来た人々と、取り壊されようとしている教会の話である。楽園から誰が来たというのだろうか。
この教会で長年つとめてきた司祭(マイケル•ロンズデール)は、取り壊される教会を守れなかったことに苦悩している。いとも簡単にキリストは像は撤去させられ、明日にも教会は崩されようとしているのだ。そのような折、アフリカから逃れて来た移民が一夜を過ごすためこの教会に身を寄せて来る。最近のイタリア映画に、アフリカからの移民を題材にとったものがよく公開されている。この作品もまたそのひとつである。しかし、この作品の特徴は、その移民たちが、身も心もボロボロになってやってくるわけではない。彼らの表情を見ると、それぞれに強い意志が感じられる。どこか崇高な感じすら受ける。この教会を取り壊そうとする者たち、あるいはその社会に対して、何かしらの啓示でも与えるような印象がある。そのような見方をすると、「厚紙の村」という言葉の意味が明らかになってくる。