監督:酒井充子 2013年 日本 ドキュメンタリー
台湾とは、そして日本とは。このドキュメンタリーは、日本統治下(明治28年〜昭和20年)のもとで日本式の教育で育った台湾人の告白で綴られている。もちろんこの時代は公用語が日本語であったのは言うまでもない。日本が戦争に負けて、軍人たちは台湾から去った。そして、その後に入ってきたのは中国国民党であった。
この世代の人々は、蒋介石を良く言わない。住民にとって、蒋介石は許すべからざる人間である。ヒトラーのようだとも言う。国民党は台湾が独立運動をされると困るのだ。有無を言わせず、我が物にしなければならない。弾圧や処刑が横行する。これが現実なのだ。「台湾は見捨てられた民族だ」旅行会社を経営する男が言う。
我々は本当に台湾というところを知っているのだろうか。たんに親日だといっても、そこには負の歴史がある。蒋介石は反共産主義だからと言って、讃える人たちがいる。殺戮の首謀者に共産も反共もない。ついこの前まで、言論の自由さえなかった場所なのだ。