2015年1月18日日曜日

黒田記念館



 1月2日黒田記念館がリニューアルオープンされた。1月10日、『九条美術展』の搬入で都美術館に行ったときにその看板を目にし、入ってみた。昭和三年の建築であり、瀟洒な西洋建築である。この建物だけでも入館してみる価値は充分にある。 黒田清輝(1866−1924)誰でもが美術の教科書で目にしたことがあるはずだ。明治政府の重要人物黒田清綱の養子であり、フランスに渡りラファエル・コランに師事した。あまりにも名のある人物なので、私自身は黒田清輝を回避してきたが、確かにデッサン力はなみはずれて優れている。貴族院議員であり子爵とあれば、どうも私のへそ曲がりの心がうずいてしまう。でも、いま一度冷静に作品を眺めてみると、やはり『湖畔』や『読書』『マンドリンを持てる女』はいい。フランス滞在中に親密になった女性とはプラトニックであったということであるが、ほんとうかしらん。森鴎外(1862ー1922)のような人もいるのだから、と思ってしまう。なぜ黒田は絵画に目覚めたのだろうか、裸婦を描き続けるにはそうとうの覚悟も必要だったはず。帰国して結婚した女性とは離婚し、芸者であった『湖畔』のモデルと結婚。なんだか、森鴎外と重ねてみたくなる。インディアンサマーの日差しを受け、しばし明治に心馳せてみた。記念館は無料なので、気軽に足を運べる。