監督•脚本 エミリオ•エステヴェス 2010/アメリカ•スペイン
聖地サンティアゴ•デ•コンポステーラへの巡礼の物語。トム(マーティン•シーン)は60歳を過ぎた眼科医。ダニエルという息子がいたが、彼は大学院博士課程を中途でやめて巡礼に出ると行って去った。世界を学びたいという。しかし、ある日フランスの警察からダニエルの死を知らせる電話がある。息子の考えがわからないまま別れたトムは、この世から去った息子の確認のため、スペイン国境沿いにあるフランスの町を訪れる。不慮に事故で亡くなった息子ダニエルの心を知りたいという思いに駆られ、その意志を継ごうと遺品のリュックを背負い巡礼の旅に出るのだった。
人はみなそれぞれに事情を抱えている。そんな人々が自然に集まってくる。息子ダニエルの「人は人生を選べない、ただ生きるだけだ」という言葉が印象的だった。「巡礼」とは自己慰安の旅のことかもしれない。きっかけは、仏であってもいい。神であってもいい。予言者であってもいい。たぶん自分自身の心の奥底に、すべてを超越した何かがあるのだ。