監督:セルジオ•カステリット 原作:脚本:マーガレット•マッツァンティーニ
2012年 イタリア/スペイン
英語題は「TWICE BORN」(二度の生まれ)イタリア語原題は「VENUTO AL MONDO」(世界の到来) 主演:ペネロペ•クルス。
ペネロペ•クルスの役柄は大女優への一歩という印象を受けた。題材は極めてきつい苦悩の世界である。神は一部の人間に、これほどまでの苦痛を与えるのだろうか。そしてどれほどまでに人間への贖罪を求めるのだろうか。筆舌に尽くし難い作品であった。
舞台がサラエボ、ボスニア•ヘルツゴビナの首都。子どもが欲しい夫婦が、とてつもない状況に巻き込まれて行く。
ジェンマ(ペネロペ•クルス)はサラエボに留学していたときに知り合ったカメラマンのディエゴ(エミール•ハーシュ)と恋に落ちる。彼女は彼の目を持つ子どもが欲しいと願うが、その望みは断たれる。ローマで暮らしていたのだが、彼女たちは再びサラエボへと向かうのだった。そして民族紛争がはじまってしまうサラエボで、壮絶な人間模様が繰り広げられる。代理母を申し出る女性(サーデット•アクソイ:トルコイスタンブール出身)、紛争時の兵士の暴行、絶望のため自らの命を断つ夫(エミール•ハーシュ:カリフォルニア出身)詩を読むリーダー格の男(アドナン•ハスコヴィッチ:サラエボ出身)、ジェンマ(ペネロペ•クルス:スペインマドリード出身)と一緒になるイタリア•カラビニエーリの大佐(セルジオ•カステリット:ローマ出身:本作監督)、息子ピエトロ(ピエトロ•カステリット:ローマ出身:セルジオの実子)、精神科医(ジェーン•バースキン:ロンドン出身)。
スリリングなプロットは、感動を呼ぶラストに一気に進む。そして愛というものの本質を深くえぐり込む。アガペーとしての愛である。
(「TOHOシネマズシャンテ」にて)