『最強のふたり』2011/FRANCE 監督:脚本 エリック•トレダノ/オリビエ•ナカシュ
元気が出る作品。深い悲しみと寂しさが裏打ちとなればこそ、このような元気が現れるのだろう。人はみな何かしら悲しく悲痛な思いを抱えている。
いきなりイタリアの高級スポーツカーマセラティの疾走場面からはじまる。じつは最後の場面でもあるのだが、この痛快さがこの作品の底に流れている。障害を持った大富豪フィリップ(フランソワ•クリュゼ)も介護人ドリス(オマール•シー)もチャーミングだ。スラム街で生きてきた黒人ドリス、重度の障害を持ったフィリップ。このふたりはけして自暴自棄になることなく、何かあるとすぐジョークを飛ばす。このジョークがいい。この世のほとんどはジョークを飛ばせばなんとかなる、とでも言わんばかりである。ユーモアとペーソス。男の友情。雪のパリから透けて見えるのは、心温まる哀愁のメロディーだ。