2012年10月9日火曜日
新しい靴を買わなくちゃ
2012/10/8 休日。いよいよ秋らしく、朝のヒンヤリした空気が身体に快い。半袖にジャケットを羽織って目的もなく出かけてみるのもいいかもしれない。
昨日の夕方、「新しい靴を買わなくちゃ」を観た。
監督:脚本は北川悦吏子、恋愛物語の神様と言われる。もともとはTVドラマの脚本家で「愛してくれといってくれ」(TBS)は、なかなかの秀作であった。
キャストが中山美穂と向井理なので、いかにも話題をつくるキャスティングと思ったが、そんな不安な気持ちを見事に解消してくれた。
「ビーカーの中に入れた毬藻を秋の青空に透かして見たような作品」である。
プロデューサーが岩井俊二、音楽監督が坂本龍一。このふたりのアーティストの仕事がかなりあるように思え、映像的にも音楽的にもきわめて芸術的な作品になっている。なんといってもパリ市街がいい。パリをこのように美しく撮影できるのは、日本人アーティストしかいないだろう。パリは平行線で撮ったらいけない。上から見るか、下から見るか、のどちらかだ。日本から来たセン(向井理)を撮っている時、カメラは小津安二郎のようなローアングルで映している。それは、背景を美しく映す方法でもあるように思える。市街の建物の上に空がある。空をスクリーンの六分の一程度にすると、アパルトマンの屋根の形状が映し出される。それがためには、場所によってはローアングルでカメラを回す必要が出て来る。
この作品に生活感のある細かいリアリティはいらない。そうするとこの作品のいい部分が壊されてしまう。画面にたいする細かい注意は必要であろう。
撮影は2012の3月らしい。私が渡仏した一ヶ月ほど前だ。