もういちど世田谷美術館で開催されている金山康喜の展覧会に行く。気になり、どうもこころに引っかかる作家である。『食前の祈り』(1950年)の目を閉じた人々と真っ黒な椅子が地平の先に遠ざかっていくような作品。部屋の中であるはずなのに、地平線のような堺がある。『聖ユーレリウスの器』(1949年)でも、テーブルの周りに黒い椅子が取り巻いており、遠くに消えてなくなろうとしている。背景はどれもブルーだ。主人が居ないイス。腰掛ける者のいないイス。永遠の不在を物語るような、孤独の極北。金山は永遠の孤独を抱え持って生きていたのかもしれない。そんな思いに駆られる。してみると、野見山暁治の作品もまた孤独感が溢れる。『落日』『室内の人』(1959年)どの作品も孤独感がある。これが二人を引きよせた要因かもしれない。
フト思うのだが、金山の筆致にベン・シャーンと国吉康雄を感じる。